紅一点
 

「バカな子ね。
女の子が、頑張ってるのに
アタシが温い場所に
居られるとでも思う?」

そういって、私の顔を
両の掌でムギュッと挟み
ムニムニ動かす。

淳之介は、池田屋さんの
用心棒をすることもあるけど、
基本的に喧騒を好まない。

肉弾戦は、痛いから
やりたくないと
日頃からよく言っている。

それなのに…

「淳之介は優しいんだね。」

そう漏らせば、彼は

「これからは、ハオと共に
アタシはあるわ。
アンタが誰かち戦うべきと
決めたというなら、アタシは
必ずその隣に立つ。」

そう言って、腰にさした
短刀を確かめる様に触れた。


 
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