紅一点
「ハオ、好きだよ。
俺は、ハオを好いてる。
ハオを愛しいと思ってる。」
そう言って、淳之介は
うっとりするくらい
笑んでみせた。
ガタイはいいけど
端正な顔つきの淳之介は、
まさしく大輪の花が咲いた様。
ああ…
彼の笑顔は
何にも替え難い。
いつも拠り所になってくれる。
私を待っていてくれる。
私に寄り添ってくれる。
淳之介のいる場所が
すっかり私の居場所だ。
「淳之介、今日はここで
寝てもいい?
私のお布団は貸出中だし。」
今日は、まだ一緒に居たい。
「…いいけど…。
俺、手早いけど平気?
太夫達に育てられてるから
手練手管仕込まれてるし
人生悔いを残すなと
躾けられたからさ。
チャンスは逃さない事に
してるんだ。」
そう言って、淳之介は
私をベッドに横たえる。
その、自然すぎる動きには
さすがに、びっくりした。
「いや、あのぉ…
私の気持ちとか、そういうのは…」
ちょっと待ってくれと問えば。
「ハオは俺のこと好きでしょ。
俺、自分の感情はアレだけど
女郎達の中で育ってるから
耳年増だったし、女心は聡いよ。」
まさかの答え。
でも、まあ…
合ってるし。
まあ、いっか。