強引な彼にすっかり振り回されています


そこからは怒涛の2週間だった。


依頼内容に沿ったコンセプトを検討し、コンセプトに合う植物を吟味して、配置場所を熟考し、レイアウト案を作成。

メールで確認をお願いしたところ、本人ではなく秘書の佐々木さんからご丁寧なお返事をもらい、

「全てお任せするようにと言われています。」

というプレッシャー以外の何物でもない承認を経て、必要なものを発注していく。

それと同時に、あの日エレベーターから見た庭園の微調整を親方と相談し、検討した。

もちろん、通常のレギュラー業務もあるわけで、文字通り「忙し」くしていた。


きっちり2週間後。

西王寺さんからお呼び出しがかかる。
もちろん、完成した部屋の確認だ。


ファンクションルームまで行くと、秘書さんが迎えてくれる。


「いつもいつもご足労おかけします。副社長は中におりますので。」 

「いえいえ、お忙しいのは存じ上げておりますから。」


お互いに笑顔でお辞儀をしながら、開けてもらった部屋に入る。


「失礼します、片岡です。」


西王寺さんは部屋の中央にいた。

こちらを振り返って目が合うと、久しぶりにドキっとしてしまう。


「出張、おつかれさまでした。」

「うん、ただいま。」


やっぱりどことなく甘い空気感にソワソワしてしまう自分がいた。


「お部屋……いかがでしょうか。」

「うん、いいね。思っていた以上の出来。」


副社長の面持ちで頷きながら、ぐるりとルーム内を見渡してから、私の所に真っ直ぐ歩いてくる。


「そう言っていただけて、ホッとしました。任されるって、嬉しくもプレッシャーで。」


力なく笑ってみせると、西王寺さんは優しい笑顔を見せてくれて、


「でも紗也ちゃんなら大丈夫だと思ってたから。」


またこの人は私を喜ばせる言葉をサラッと言ってのける。


「ありがたいですが、それ買い被りすぎですよ?」


私の目の前で足を止めた西王寺さんと、至近距離で見つめ合う形になる。


「いや、あの数日でここまで仕上げるなんて、ありがとう。頼んで良かった。」


言いながら、手の平より少し大きなサイズの箱を握らされる。


「これは?」

「やるよ。開けてみて。」


中にはピンク色のダリアの花がモチーフの髪飾り。


「そんな、いただけないですよ。」


焦りながら西王寺さんを見上げる。


「出張中に市場調査したところで見つけたんだ。
紗也ちゃんに似合うだろうなと思ったものだから、もらってくれないと俺が困る。それとも、こういうのは好きじゃない?」

「……好きです。」

「じゃあ使って?贈ったものを持ち帰る趣味ないから。」


ニコッと微笑まれてしまえば、断る理由が無くなってしまう。


「ありがとうございます。大切にしますね。」


顔に熱が集まっているのを感じながら、ちゃんと微笑み返せているだろうか気恥ずかしく思っていると、頭に大きな手が乗せられた。


「また今度仕事の依頼するよ。」

「……っはい!ありがとうございますっ!」


すっかり違和感の無くなってしまった距離感が心地良かった。

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