強引な彼にすっかり振り回されています
「またこんな時間まで作業してるのか。」
西王寺さんのお見合い現場に出くわした日の夜。
ライトアップ用の電飾をチェックしているときに声の主が現れた。
ポイっと何かを投げられて慌てて受け取る。
手には缶コーヒーが乗っていた。
「休憩しない?」
2人で東屋に向かう。
私は作業着を着替えると「負け」な気がして、今も土で汚れたままの格好だった。
「昼間は悪かった。」
座った瞬間に西王寺さんから謝られる。
「いえっ、西王寺さんに謝っていただくことでは!私もちょうど土まみれで。」
「むしろ、西王寺さんが恥ずかしい思いをしてしまったんじゃ……?」
立て続けに喋ってしまったのは、西王寺さんと今こうして並んで座っている状況に緊張しているからだ。
「恥ずかしいことなんて、ない。」
真剣な目で見つめられてしまい、心臓が波打つ。
「紗也ちゃんの仕事はカッコいいと思ってるし、その服だって勲章だと思ってる。不愉快な思いをさせて悪かった。」
「西王寺さん……。」
「おれが付き合わなきゃならない人たちとか、場所とか、結構不自由なところがあって。」
言いながら西王寺さんが星空を眺める。
私もつられて吸い込まれそうな夜空を見上げた。
「この前も無理矢理に着替えさせてディナーに誘ったばかりだったから、考えてみたら失礼なことだったかなと昼間、反省してた。」
「そんなことっ!あれは驚きましたけど私も結局は楽しい時間を過ごさせてもらってしまって。失礼だなんて、とんでもないです。」
「そう?」
「はいっ!」
思わず西王寺さんのほうに身を乗り出して応える。
「じゃあ、今日はそのままの格好で良いから、このまま俺に攫われて?」