強引な彼にすっかり振り回されています
あの日の早朝、西王寺さんを見送ったエレベーターに乗り、上層階で降りた。
「どうぞ。」
生活感のない広々とした空間だけど、西王寺さんの自宅であるに違いなかった。
「紗也ちゃんは仕事するときに、まずは現場視察するだろ?」
後ろ手に玄関ドアを閉めながら西王寺さんが言う。
「仕事ですか?」
「うん。この部屋を紗也ちゃんの好きな植物でコーディネートしてほしい。2人で住むには、あまりにも殺風景だろ?」
「あ……。」
私は何を期待していたんだろう。
昼間のあの女性と住むために仕事の依頼で呼ばれただけだったなんて。
恥ずかしさと情けなさで、涙が浮かんできてしまいそうだ。
「そっ、それなら、お相手の方の好みをうかがわないと……。」
何とか言葉にする。
「うん。だから、紗也ちゃんの好きなように。」
西王寺さんが微笑んで、私を抱きしめた。
「さっ……西王寺さんっ?」
「まだわからない?俺は紗也ちゃんと住みたいって言ってる。」
耳元で囁くような声で紡がれる言葉に思考がついていかない。
「俺と結婚してみない?」