強引な彼にすっかり振り回されています
そっと西王寺さんの唇が重ねられる。
私は訳がわからなくて、でも与えられる熱を離したくなくて、繰り返される口づけに、ただ必死に応えた。
「はぁ……っ。」
どちらとも区別のつかないため息がもれて、唇が離れる。
「このまま紗也ちゃんを閉じ込めておきたい所だけど、今日は無理強いしないよ。」
西王寺さんが私の頭を優しく撫でる。
「ごめんなさい、頭が追いつかなくて……。」
背の高さが違うので、自然と上目遣いに西王寺さんを見ることになってしまう。
「そんな目で見られると心が揺らぐなぁ……。」
チュッと今度はおでこに1つ口づけが落とされた。
「紗也ちゃんは、頭が追いついてないだけで、心は追いついてるんでしょ?」
再度、腕の中にギュッと閉じ込められる。
「はい……。」
身分違いがあるにせよ、私はどう考えても西王寺さんに恋をしているのだと、この時初めてちゃんと認めてあげた気がする。
「それが聞けただけで今夜は十分。明日の夜も屋上にいる?」
「明日は日中が屋上で、夜はお店のほうにいます。」
「じゃあ、21時に迎えに行く。」
「お店に?」
「うん。」
「わかりました。」
そうして、私と西王寺さんはやっと身体を離した。
離れてしまった温もりがもう寂しいだなんて、私はすっかり欲張りだと思う。
その後はエントランスまで西王寺さんに見送ってもらい、さすがのコンシェルジュは作業着姿の私にも、にこやかにお辞儀をしたのだった。