強引な彼にすっかり振り回されています
「店長、1番好きな花って何ですか?」
翌日、屋上からお店に行くとマナちゃんが開口一番に質問してきた。
「急にどうしたの?うーん……最近はダリアかな。」
照れ隠しに西王寺さんにもらった髪飾りをそっと触りながら答えた。
「わっかりましたぁ♪」
マナちゃんは上機嫌で完成直前のところまで整っているブーケにダリアを追加した。
「今日のワンピース、可愛いですねっ!」
リボンの色を選びながら、マナちゃんは何やら楽しそうだ。
珍しく着てみたワンピを褒められて、私も満更ではない。
「何なのー?褒めても何も出ないよ?」
「ふふっ。出来上がりー♪」
1人で盛り上がっているマナちゃんは、出来上がった可愛らしいブーケを、大事そうにショーケースに閉まった。
「後でお客さん取りに来られるので、置いておきますね。あっ、お代は先にいただいてます。」
「りょうかーい。」
その後はいつもと同じようなペースで接客をし、商品の手入れをして、あっという間に閉店時間となった。
店じまいをしていたとき、ショーケース内のブーケに気づく。
「ねぇ、マナちゃん。ブーケのお客さん、取りに来なかったね。」
「ここのテナントで働いてるって言ってたんで、もしかしたら閉店後に来るのかもしれませんね。」
「そうなの?それならそうと言ってよ。今日は私ももう上がらないと……」
「あっ!来たっ!!」
私の言葉を遮って、マナちゃんがお客さんに反応する。
「こんな時間に悪いね。」
「いーえっ♪ いつでもお待ちしてます。」
マナちゃんがブーケを手渡した相手。
「西王寺さん……」
「時間、ちょっと早かったか?これを紗也ちゃんに。」
可愛らしいブーケが私の手に預けられる。
「えっ?マナちゃん??」
「ふふふー。後は私が片付けますので、店長はデートデートっ!」
「店長の指導が行き届いてるなぁ。」
マナちゃんと西王寺さんだけ楽しそうにしていて、何だか悔しい。
「お言葉に甘えて、デートさせてもらおう?」
西王寺さんに手を差し出され、手を振っているマナちゃんを横目に、その大きな手を取るしかなかった。