婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
「しつこいなぁ。だから、鏡見てから出直せって言ってるの」
「なんだぁ? ちょっと美人だからって調子に乗って」
この光景を前にするのは何度目だろうか。ナンパしてきた男と喧嘩になることは、莉子にとっては年中行事らしい。双方とも酒が入っているので、ほっとけば事態は悪化するばかりだろう。
宗介はすっとふたりの間に入ると、男のほうに笑顔を向けた。ここは下手に出るのが得策だ。というより、どちらかと言えば莉子のほうに非がありそうだった。
「すみません、連れがご迷惑をおかけして。こう見えて酒に弱いんですよ」
『連れ』というのは、便利な言葉だと思う。宗介は文字通りに『連れ立っている相手』という意味で使っているが、相手は『恋人』と解釈したらしい。捨て台詞のようなものは吐いていたが、案外とあっさり退散してくれた。
「歩いてるだけでトラブルを起こすなら、酒を飲むなよ」
もしくは、飲むなら家にこもっていろ。と言ったところか。飲酒運転の標語と同じだ。
「あっちが悪いんだもん」
莉子はつんと、そっぽを向いた。
彼女のことは嫌いではない。だが、結婚しようという男が現れたなら、その彼の人生を思って一度は止めるかも知れない。少なくとも宗介は、人生の貴重な時間を喧嘩の仲裁に費やし続けるようなことはごめんだった。
「なんだぁ? ちょっと美人だからって調子に乗って」
この光景を前にするのは何度目だろうか。ナンパしてきた男と喧嘩になることは、莉子にとっては年中行事らしい。双方とも酒が入っているので、ほっとけば事態は悪化するばかりだろう。
宗介はすっとふたりの間に入ると、男のほうに笑顔を向けた。ここは下手に出るのが得策だ。というより、どちらかと言えば莉子のほうに非がありそうだった。
「すみません、連れがご迷惑をおかけして。こう見えて酒に弱いんですよ」
『連れ』というのは、便利な言葉だと思う。宗介は文字通りに『連れ立っている相手』という意味で使っているが、相手は『恋人』と解釈したらしい。捨て台詞のようなものは吐いていたが、案外とあっさり退散してくれた。
「歩いてるだけでトラブルを起こすなら、酒を飲むなよ」
もしくは、飲むなら家にこもっていろ。と言ったところか。飲酒運転の標語と同じだ。
「あっちが悪いんだもん」
莉子はつんと、そっぽを向いた。
彼女のことは嫌いではない。だが、結婚しようという男が現れたなら、その彼の人生を思って一度は止めるかも知れない。少なくとも宗介は、人生の貴重な時間を喧嘩の仲裁に費やし続けるようなことはごめんだった。