婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
宗介が紅の家に来て、二週間が経った。
彼との暮らしは思いのほか楽しくて、ひとりに戻ったらきっと寂しさを感じることだろう。
「紅、こっちおいで」
お風呂上りにキッチンでお茶を飲んでいた紅を、リビングの宗介が手招きで呼んだ。
「なに?」
「髪、濡れたままにしておくと風邪ひくよ」
宗介は自分の前に紅を座らせ、ドライヤーのスイッチを入れた。生温い風が紅のうなじをくすぐる。
「……トリマーさんに綺麗にしてもらう犬になった気分」
紅はくすくす笑いながら、そう言った。宗介はいつだって過保護で、紅をたっぷりと甘やかす。紅は甘えるのが苦手なほうだが、彼の前では素直になれた。
甘えられる相手がいる心地よさを味わうのは久しぶりだった。
「紅は犬より猫っぽいかな」
「つり目だから?」
紅は純和風の顔立ちをしており、着物が似合いそうだとよく言われる。色白、黒髪ストレート、やや切れ長の瞳と、どこを取っても日本的だ。
最近流行りのハーフ顔でも愛らしい童顔でもないが、紅は自分の容姿が嫌いではなかった。
「内面の話ね。無自覚に小悪魔なところとか、そっくりだよ」
「小悪魔? どのへんが?」
小悪魔系っていうのは、いわゆるアイドルとか女子アナみたいなかわいらしさ全開の女子をさすんじゃないだろうか。紅とは対極にいる人種のように思う。
彼との暮らしは思いのほか楽しくて、ひとりに戻ったらきっと寂しさを感じることだろう。
「紅、こっちおいで」
お風呂上りにキッチンでお茶を飲んでいた紅を、リビングの宗介が手招きで呼んだ。
「なに?」
「髪、濡れたままにしておくと風邪ひくよ」
宗介は自分の前に紅を座らせ、ドライヤーのスイッチを入れた。生温い風が紅のうなじをくすぐる。
「……トリマーさんに綺麗にしてもらう犬になった気分」
紅はくすくす笑いながら、そう言った。宗介はいつだって過保護で、紅をたっぷりと甘やかす。紅は甘えるのが苦手なほうだが、彼の前では素直になれた。
甘えられる相手がいる心地よさを味わうのは久しぶりだった。
「紅は犬より猫っぽいかな」
「つり目だから?」
紅は純和風の顔立ちをしており、着物が似合いそうだとよく言われる。色白、黒髪ストレート、やや切れ長の瞳と、どこを取っても日本的だ。
最近流行りのハーフ顔でも愛らしい童顔でもないが、紅は自分の容姿が嫌いではなかった。
「内面の話ね。無自覚に小悪魔なところとか、そっくりだよ」
「小悪魔? どのへんが?」
小悪魔系っていうのは、いわゆるアイドルとか女子アナみたいなかわいらしさ全開の女子をさすんじゃないだろうか。紅とは対極にいる人種のように思う。