婚約破棄するはずが、一夜を共にしたら御曹司の求愛が始まりました
『はい。あぁ、ありがとうございます。そうですね、近いうちに内見して……』
何事もなかったかのように、宗介は淡々とした調子で電話に対応している。
でも、スマホを持っていない左手は紅を抱きしめたまま離そうとしない。おまけに会話の合間にも、頬やうなじにキスを落とすから紅の心臓はちっとも静かにならなかった。
短く電話を終えた宗介に、紅は抗議の声をあげた。
「恥ずかしいから、こういう悪戯は……」
「あぁ、ごめん。声を我慢してる紅があんまりかわいいからさ」
宗介は挑発的な瞳で、紅の顔をのぞきこんだ。
「……続き、する? 電源切っといたから、もう声を我慢する必要ないよ」
恥ずかしさのあまり、紅は全力で彼の手を振りほどきぷいと背を向けた。
「しません! 宗くんのそういうところは嫌い!」
恋愛経験の少ない紅をからかって楽しんでいるのだ。まんまと翻弄されている自分が、紅は悔しかった。
宗介はクスクスと楽しそうに笑っている。その余裕が、また紅を怒らせた。
「悪かったよ。もうしない。それより紅にお願いがあるんだけど……」
「なに?」
まだ怒りがおさまらない紅は彼に背を向けたままで、ぶっきらぼうに答えた。
「新居の候補がいくつか決まったから、内見に付き合ってくれないかな?」
何事もなかったかのように、宗介は淡々とした調子で電話に対応している。
でも、スマホを持っていない左手は紅を抱きしめたまま離そうとしない。おまけに会話の合間にも、頬やうなじにキスを落とすから紅の心臓はちっとも静かにならなかった。
短く電話を終えた宗介に、紅は抗議の声をあげた。
「恥ずかしいから、こういう悪戯は……」
「あぁ、ごめん。声を我慢してる紅があんまりかわいいからさ」
宗介は挑発的な瞳で、紅の顔をのぞきこんだ。
「……続き、する? 電源切っといたから、もう声を我慢する必要ないよ」
恥ずかしさのあまり、紅は全力で彼の手を振りほどきぷいと背を向けた。
「しません! 宗くんのそういうところは嫌い!」
恋愛経験の少ない紅をからかって楽しんでいるのだ。まんまと翻弄されている自分が、紅は悔しかった。
宗介はクスクスと楽しそうに笑っている。その余裕が、また紅を怒らせた。
「悪かったよ。もうしない。それより紅にお願いがあるんだけど……」
「なに?」
まだ怒りがおさまらない紅は彼に背を向けたままで、ぶっきらぼうに答えた。
「新居の候補がいくつか決まったから、内見に付き合ってくれないかな?」