【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

「……アメイジンググレイス……」

「智樹さん、起きて…
ごめんなさい…うるさかったですよね…」

「…アメイジンググレイスを作ったのは、イギリスの若き船乗りだ」

「そう、なんですか?」

おでこに充てていた手を、智樹さんがぎゅっと握りしめる。 とても寂しい横顔だった。

「当時、彼は奴隷を船で運んでいた。
劣悪な環境の中で、死にゆくものも珍しくは無かったそうだ…。
彼は仕事だと思いながらも、その仕事に対して苦悩していた。
そんなある日、航海中に大きな嵐が来て全員海に投げ飛ばされたそうだ。
奴隷はなくなったが、彼は生き残り その時に神に祈ったそうだ…。
こんな罪深い事をした自分にも神はご慈悲をくれた、と。それからは牧師となり人助けをして生きる事を誓ったそうだ。」

智樹さんはいつも通りゆっくりと丁寧に言葉を口にしていた。私を抱く時みたいに荒々しくもなく、優しく手を握り締めながら。


< 181 / 247 >

この作品をシェア

pagetop