転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
今日頼まれた商品。たぶん、これは一緒に誘拐された男の子のことだ。
それともうひとつわかったこと。
いつものやつ――ということは、たぶん、こういった取引をするのに決まった相手がいるということ。
一緒にいる男の子は、誰かに頼まれて誘拐してきたということだ。

(引き渡しに時間がかかるってことは……)

 たぶん、今は祭りの真っ最中で、首都から出ていく人がほとんどいないからだ。今出ていくのは目立つ。
それに誘拐犯がいつまでも首都にとどまっているなんて普通は思わないだろう。すでに、街から出る街道は厳重に警戒されているかもしれない。
三日後には祭りも終わるし、それさえ過ぎてしまえば、都の外に出るのもさほど難しくはないだろう。
 それまでの間、男達はここに潜伏するつもりなのだ。
 涙に濡れた目をごしごしとこすり、気合を入れなおす。

(たぶん、神様が助けに来てくれるってことはなさそうだそうし……そうなると……逃げ出すチャンスを狙う、しかないかな……)

 この一か月の間、必死に"隠密"スキルを磨いてきた。
 他に男達の目が向いている時なら、その隙をつくことはできると思う。
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