転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
(私一人なら、なんとかなりそうな気もするんだけど……)
けれど、この男の子を残して出ていくのは心配だ。アイリーシャは本命の獲物ではなかったようだけど、残った彼がひどい目にあわされるのは確実だ。
(どうやって、男達の意識を集中させる?)
考え込んでいたから、アイリーシャは男の子が自分に興味深そうな目を向けているのにまったく気づいていなかった。
「――ねえ」
「な、何?」
声をかけられると思っていなかったから、うっかり飛び上がる。
「脅かすつもりはなかったんだ――ごめん。それと……巻き込んで、ごめん」
申し訳なさそうに、男の子はうつむいた。
「大丈夫、あなた――お兄さんのせいじゃない」
アイリーシャの言葉に、彼は驚いたように目を見張った。
(私、落ち着き過ぎてる……かな)
こう自分を取り戻しかけているあたり、だいぶ落ち着いてきたのだろう。アイリーシャをまじまじと見ていた男の子は、もう一度頭を下げた。
「巻き込んでごめん、本当にごめん。謝ってすむ話じゃないけれど」