転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 一緒にいた男の子が、どうなったのか気になる。王宮前の広場に行けば、帰れると言っていたから、大丈夫だろうけれど。

「ええ、大丈夫。無事に帰れたわよ」

 母の返事を聞いて、少し安心する。

(あの男の子の名前聞くの忘れちゃったな……)

 そう言えば、あの男の子はどこの誰だったんだろう。ずっとお兄さんと呼んでいたから、名前を聞きそびれてしまった。

(……まあ、いいか)

 なんだか頭が痛くて、それ以上考えるのは難しかったし、知らせを聞いた父がばたばたと戻って来たものだから、男の子については、それきり頭から消えた。

「アイリーシャ! ああ、よかった!」

 父は、アイリーシャを抱きしめてから、兄達を部屋から出るよう促す。もうしばらくの間休ませないといい聞かされ、三人はしぶしぶ外に出て行った。

「一晩目を覚まさないから、びっくりしてしまったよ」
「お父様、苦しい……」

 あまりにも強く抱きしめられて、くらくらしてきた。きっと、こんな風に大切にされるのはいいことだろう。
 父の言葉に、しぶしぶと兄達は部屋を出ていく。あとに残ったのは、両親とアイリーシャだけだった。

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