腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
「ちょっと……考えさせてくれないか?
急過ぎるだろ?
別に俺は海外研修なんて必要ない。
そうだろ? 岩橋屋を継ぐのは兄貴だ。
兄貴には来人もいる」

「でも、2年前とは違うじゃない。
あの時は、賢人にパートナーはいなかった。
だから、私達も強く言わなかったのよ。
今は一緒に行ってくれる人がいるじゃない」

「……賢人?
そんなに前から話が出ていたの?」

光が青褪める。
やめてくれ。そんな顔をさせるためにあの時断ったんじゃない。

「今言ったのと同じ理由。
俺に海外研修は必要ないと思っただけだ」

俺はずっと次男だから、兄貴を支えられたらそれでいいと思ってた。
ホテル業には興味がある。
今の旅館の仕事も面白いと思っている。
岩橋の名ではあるけれど、自分は普通のサラリーマンと変わりないと思ってきた。

それに…
光と離れるつもりもなかったからな。
今でも寮生活で、小旅行に行く程の距離は離れている。でも、会えないわけじゃない。
公休日は全て光の部屋で過ごしていた。
海外に行ってしまったら、それも出来ない。
絶対に言わないけど、だから断ったと言うのもある。
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