腹黒幼馴染、天使を捕獲する。

「本当は連れていきたい……」

「賢人！
……うん、寂しいね。
次の休み、ずっと先なんだよね？」

「連休はな。
シフト上は1ヶ月先だな。
でも、今回の異動で、それもどうなるか……｡
きっと迷惑かけるだろうからな。
ひょっとしたら、異動するまで、連休は取れない可能性もある」

エェ……
それは寂しい。

でも、そうも言ってられない。
海外研修に向けて、準備の期間がただでさえ少ない。
年明けから、取り掛かれるよう、今の勤務地での仕事はきちんと引き継いで来てもらわないとね。

「寂しいけど、年明けからは一緒に暮らせるよ。だから、お互い頑張ろう！」

そう。
私自身も、引き継ぎがある。
今後のことを考えて、今年いっぱいで退職することにしたのだ。

いずれ、海外研修が終わった時、HASEGAWAに戻る予定にはしている。
でも、社長秘書にはきっと戻れない。
後任秘書はきっと立派に役目を果たしてくれるだろうから。
その事を寂しいと思うのは私の我儘だ。

今ここで私が考えるべきことは、結婚生活と渡航に関することの準備。
私の最優先はこれから先、賢人なんだから。

それに……