私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
彼を正視できず俯いて視線を逸らす私の頭に彼はそっと手を置いた。
「もう許可なくこの部屋には入らせませんから。さあ、寝てください。授業中居眠りされては困ります」
「そうなったとしたら全てチャラ男のせいよ」
わざとムッとしてみせてベッドに横になると、尊が布団をかけた。
すぐに部屋を出て行くと思ったのに、彼はまだいる。
目を閉じるが、気になって眠れない。
シーンと静まり返り、それで逆に緊張してしまって息が詰まりそうだ。
ああ〜、尊に「どうしてキスなんかしたの?」って聞けたらいいのに。
聞けない自分が情けない。
まともに彼を見ることすら出来なくて、ふたりきりになるとどうしていいのかわからなくなる。
兄ならキスなんかしない。
そもそも、冗談で手や傷に口付けるなんてこともしないんだけどね。
別荘から戻ってきてから私と彼の関係はなんだかギクシャクしている。
「眠れないようですね?」
尊の声がして、心臓がバクバクした。
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