私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「あの時は、みんなを守ろうと必死だったの」
私は式神が使えないし、うちに戻って父や兄を呼びに行く余裕なんてなかった。
「術も使えないのに?尊さんが来てくれなかったら、撫子は死んでたかもしれないよ。もう無茶はしないでね」
春乃は優しいけど、自分の意見ははっきりと言う。
彼女に諭すように言われるが、素直に頷けなかった。
「私も父や兄のように術が使えたらよかったのに」
水瀬家の場合、水を使う力は直系の男子にしか使えない。
どんなに修行しても父や兄のように水を使う術は使えないのだ。
だが、尊はもともと能力があったのか、うちに住むようになってからすぐに水の術を会得したらしい。
「そしたら益々尊さんの気苦労が絶えないと思うわ」
春乃の手厳しい言葉に沈黙する。
これ以上言うと、尊じゃないけどお説教されそう。
教室に着くが、今日はチラホラ空席があった。
「あら、今日は陸奥さんと神無月さんがお休み?」
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