私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
教科書を出して、隣の席の子に尋ねると、彼女は声を潜めた。
「陸奥さんは昨日呉服屋に行くと言って、そのまま家に戻って来なかったらしいわよ。神無月さんも学校から帰ってないんですって」
その話を聞いて今朝の父たちとの会話を思い出す。
「……神隠し」
妖だとしたらかなり調子に乗っていないだろうか。
このままでは街の人が全員いなくなるかも。
キンコーンと鐘が鳴って先生が教室にやってくると、私たちに告げた。
「生徒が何人か行方不明になっていますから、しばらく授業は午前中までとします。皆さんなるべくひとりで帰らぬよう。おうちの方か友達と一緒に帰るようにしてください」
その先生の指示に教室はざわついた。
まあ、良家の子女が多いし、みんな怖がるのは当然よね。
明日は自主的に学校を休む子もいるかもしれない。
午前の授業が終わり、木綿かばんに教科書を入れて帰る準備をする。
普通なら尊が門の前にいるが、今日は下校時間が変わったからまだいないはず。
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