私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
お湯を身体にかけながら、星を眺める。
ふと首筋に触れたが、もうそこには赤鬼に噛まれた傷はない。
尊のお陰で綺麗に治っている。
私と違って尊は治癒の術を使ってもダメージは少ない。
彼は四大宗家の当主になれる器を持っている。
父や兄よりも彼は強いんじゃないだろうか。
最近、夢に出てくる白髪の少年が尊に思える時がある。
顔の輪郭とか目が似てるのよね。
ただの夢だとは思うんだけど、何かが引っかかる。
どうしてあの夢だけ何度も見てしまうのだろう。
それに、あの夢とは別にふとした瞬間に声が聞こえるの。
『お願いだから目を覚まして。お願いだから』
それは夢に出てきた少年の声。
必死に私に呼びかけていて……。
私は一年間ずっと昏睡状態だったみたいだから、ひょっとしてご先祖さまが枕元に立って呼びかけてくれたのかも。
そう結論付けて風呂から上がろうとしたら、強い風が吹いてランプが倒れた。
周囲が暗くなり、思わず自分の肩を抱いて叫んだ。
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