HONEYBEE(2)～ハイスぺ社長と二度目のウエディングベル～

四宮先生は俺達を病室に案内してくれた。

「あれは別れのキスです。心配しないでください。宇佐美社長」

「俺は別に…心配など」

「久世君が気になるんでしょ？彼は素直でいい人だひねくれた貴方とは大違いだと周防先生が言ってました…」

四宮先生の声が寂しげに鼓膜に響く。
俺と葵の姿を目撃した時も彼はしゃしゃり出て来た。

きっと、彼もまた周防さんを本気で愛していたんだ。だから、見合い相手の俺と葵のコトが気になった。

でも、彼は恋愛よりも出世の道を選んだ。

「近々、私も伊集院院長の勧めで見合いするんです…」
「そうか…それは出世の為？」

「そうですね…出世の為に妊娠した女性を捨てるなんて…私は酷い男です。いつか…罰が下るかもしれませんね」

「・・・それを言われると俺の胸が痛む…」

「そんなコト言わないで下さい…社長」

「お二人も経験あるんですか？」

「ないとは言い切れない…」
俺は苦い笑いを添え、四宮先生に返した。