耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「もしかして前に涼香先生に頂いたお芋?」
「はい」
「甘くてホクホクしてて、すごくおいしいね」
食べ終わったら涼香にメッセージを送ろうと思いつつ、美寧はもう一度ベーグルにかぶりつく。
「ミネが淹れてくれた紅茶もとても美味しいですよ。甘い香りとまろやかな味……渋みは少なくて……リンゴとさつま芋とよく合います。新しい茶葉ですか?」
「ありがとう。そうなの!すごい。よく分かったね、れいちゃん。この前マスターが入荷したばかりのオータムナルを分けてくれたんだ」
「オータムナル。秋摘みのダージリンのことですね」
「うん、そう。今年一番の入荷だって。銀杏のお返しに頂いたの」
マスターは時々美寧にお裾分けをくれる。しかもそれだけなく、『従業員価格』だと言って格安でコーヒー豆や茶葉を美寧に分けてくれるのだ。
その値段が本当に驚くほど格安で、美寧は気付いていないようだが、怜は密かに(原価割れじゃないだろうか)と思っていた。
マスターがミネに甘いのは最初から分かっている。でないと、家事をろくにしたこともかった箱入り娘を、アルバイトに雇おうとは普通思わないだろう。
「マスターに俺からのお礼も伝えておいてくださいね」
「うん!」
大きく頷いたあと、銀杏と言えば———と、「この前の小田巻蒸し、すごくおいしかったなぁ」と美寧が呟く。
先週末に裏の家の花江から銀杏を大量に頂いた。その銀杏で美寧がリクエストしたのは、うどん入りの茶碗蒸し、“小田巻蒸し”だ。
茶碗蒸しのとろとろ感とうどんのもっちり感が堪らない。一緒に入れた鶏肉やシイタケから出た旨みが茶碗蒸しに溶け込み、たっぷり入った銀杏のほろ苦さが絶妙なアクセントになって、いくらでも食べられそうだった。
好きな“玉子料理”がまた一つ増えたと美寧は大喜びだった。
土鍋で炊いた秋刀魚ご飯も絶品で、小田巻蒸しのうどんが少なめだったのでそちらもちゃんと完食出来た。
怜の作る料理はいつも美寧の心と体を満たし、“食べること”の幸せを教えてくれる。
ここに来た当初は食べることが苦痛でしかなかった自分に、それを思い出させてくれたのは彼の細やかな愛情のこもった料理だった。
「また作りますね」
「ありがとう。もちろん”一緒に”、だよ?」
ほんの少し顔を右に傾けて、丸く大きな瞳で見上げながらそう言った美寧に、怜は軽く目を見張った後、花がほころぶような笑顔を浮かべ、「はい」と頷いた。
「はい」
「甘くてホクホクしてて、すごくおいしいね」
食べ終わったら涼香にメッセージを送ろうと思いつつ、美寧はもう一度ベーグルにかぶりつく。
「ミネが淹れてくれた紅茶もとても美味しいですよ。甘い香りとまろやかな味……渋みは少なくて……リンゴとさつま芋とよく合います。新しい茶葉ですか?」
「ありがとう。そうなの!すごい。よく分かったね、れいちゃん。この前マスターが入荷したばかりのオータムナルを分けてくれたんだ」
「オータムナル。秋摘みのダージリンのことですね」
「うん、そう。今年一番の入荷だって。銀杏のお返しに頂いたの」
マスターは時々美寧にお裾分けをくれる。しかもそれだけなく、『従業員価格』だと言って格安でコーヒー豆や茶葉を美寧に分けてくれるのだ。
その値段が本当に驚くほど格安で、美寧は気付いていないようだが、怜は密かに(原価割れじゃないだろうか)と思っていた。
マスターがミネに甘いのは最初から分かっている。でないと、家事をろくにしたこともかった箱入り娘を、アルバイトに雇おうとは普通思わないだろう。
「マスターに俺からのお礼も伝えておいてくださいね」
「うん!」
大きく頷いたあと、銀杏と言えば———と、「この前の小田巻蒸し、すごくおいしかったなぁ」と美寧が呟く。
先週末に裏の家の花江から銀杏を大量に頂いた。その銀杏で美寧がリクエストしたのは、うどん入りの茶碗蒸し、“小田巻蒸し”だ。
茶碗蒸しのとろとろ感とうどんのもっちり感が堪らない。一緒に入れた鶏肉やシイタケから出た旨みが茶碗蒸しに溶け込み、たっぷり入った銀杏のほろ苦さが絶妙なアクセントになって、いくらでも食べられそうだった。
好きな“玉子料理”がまた一つ増えたと美寧は大喜びだった。
土鍋で炊いた秋刀魚ご飯も絶品で、小田巻蒸しのうどんが少なめだったのでそちらもちゃんと完食出来た。
怜の作る料理はいつも美寧の心と体を満たし、“食べること”の幸せを教えてくれる。
ここに来た当初は食べることが苦痛でしかなかった自分に、それを思い出させてくれたのは彼の細やかな愛情のこもった料理だった。
「また作りますね」
「ありがとう。もちろん”一緒に”、だよ?」
ほんの少し顔を右に傾けて、丸く大きな瞳で見上げながらそう言った美寧に、怜は軽く目を見張った後、花がほころぶような笑顔を浮かべ、「はい」と頷いた。