耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
聡臣との通話を終えた怜は、マスターの携帯に電話をした。今のやり取りをマスターにも説明しなければならない。けれどマスターは話中だった。怜は直接ラプワールに向かうことにした。

公園を出てラプワールの明かりが見えた時、なぜか少しホッとした。どうしてかは分からない。
怜は【Closed―準備中—】という札のかかった木製の扉を開け、カウベルの音と共に店に入った。

「すみません———マスターはまだ……」

言いながら入った怜を、店の中にいた全員が振り返った。
そこには、奥さん以外にも人がいた。彼らの娘の杏奈とその夫である修平。それに常連客の男性二人まで。
一同の顔に浮かんだ期待の色が、一瞬にして落胆に代わる。きっと美寧が来たのかもしれないと思ったのだろう。

「まだ見つかってないのね、美寧ちゃん………」

心配そうな奥さんの声。

「わしらもさっきまでそのへんを探してはみたんじゃが……」

常連客の柴田が言い、田中も頷く。

「みなさん……すみません………」

怜が謝ると、田中が「いやなに、俺たちもみんな美寧ちゃんのことが心配なだけだ」という。

すると奥に入って行った杏奈が怜のところまでやってきた。手に持ったタオルを差し出す。

「使ってください。濡れたままだと風邪を引いてしまいます」

「……ありがとうございます」

「私たちは“あんずのシロップ漬け”のお裾分けを持って来たんです。そしたら、ヒロ君が慌てて『店を頼んだ』って出ていくから……」

受け取ったタオルで濡れた髪や体を拭く怜に、杏奈はそう話した。
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