耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
『コーヒーを切らしてしもうて……かんにんだす』と言って歌寿子は日本茶と、あるお茶請けを出してくれた。
美寧はそれに口をつけることもなく、隣に並んだ小さなガラス容器の中身を黙って見つめ続ける。
沈黙の中、最初に口を開いたのは兄聡臣だった。
「心配したんだぞ、美寧」
美寧に甘い兄にしては厳しい口調に、美寧はうつむいて膝の上の手をギュッと握る。そんな妹に聡臣は長い息を吐いた。
「あの後、僕はてっきりお前が藤波さんの家に帰ったと思っていたんだ。車の中におまえが忘れて行った買い物袋を届けた時、ご近所の方に『まだ帰って来ていない』と聞いた。だけど、僕は車だったからお前が帰り着くより早かったのだろうと思った。けど———」
聡臣は固い声で言った。
「藤波さんからお前が『帰って来ていない』という連絡を貰った時、僕がどれだけ心配したか……歌寿子さんから連絡が来るまで、生きた心地がしなかったんだからな」
「ごめんなさい……」
小さな声で謝った美寧に、聡臣はため息をつく。
「でもそれは僕だけじゃない。沢山の人がおまえのことを探し回ったんだ。藤波さんだって———彼は、僕が『妹の居場所が分かったから迎えに行く』と言ったら、『自分も一緒に行く』と言い出した。僕がどんなに『ちゃんと妹を連れて戻ってくる。いきなり引き離したりはしない』と言っても彼は聞かなかったんだ。自分も一緒にここまでくる、と」
兄の言葉に、美寧はおずおずと隣を見上げた。
目が合った怜は、少し眉を下げたいつもの微苦笑を浮かべながら頷いてくれる。
美寧は、衝動的に自分がしたことでみんなに心配と迷惑をかけたのだと、今更ながらに気付く。
瞼が熱くなるのを感じて俯くと、目の前のガラス容器の中の色とりどりの金平糖がにじんでぼやける。
消えそうな声で「ごめんなさい」と口にすると、大きな手がそっと背中を撫でてくれた。
美寧はそれに口をつけることもなく、隣に並んだ小さなガラス容器の中身を黙って見つめ続ける。
沈黙の中、最初に口を開いたのは兄聡臣だった。
「心配したんだぞ、美寧」
美寧に甘い兄にしては厳しい口調に、美寧はうつむいて膝の上の手をギュッと握る。そんな妹に聡臣は長い息を吐いた。
「あの後、僕はてっきりお前が藤波さんの家に帰ったと思っていたんだ。車の中におまえが忘れて行った買い物袋を届けた時、ご近所の方に『まだ帰って来ていない』と聞いた。だけど、僕は車だったからお前が帰り着くより早かったのだろうと思った。けど———」
聡臣は固い声で言った。
「藤波さんからお前が『帰って来ていない』という連絡を貰った時、僕がどれだけ心配したか……歌寿子さんから連絡が来るまで、生きた心地がしなかったんだからな」
「ごめんなさい……」
小さな声で謝った美寧に、聡臣はため息をつく。
「でもそれは僕だけじゃない。沢山の人がおまえのことを探し回ったんだ。藤波さんだって———彼は、僕が『妹の居場所が分かったから迎えに行く』と言ったら、『自分も一緒に行く』と言い出した。僕がどんなに『ちゃんと妹を連れて戻ってくる。いきなり引き離したりはしない』と言っても彼は聞かなかったんだ。自分も一緒にここまでくる、と」
兄の言葉に、美寧はおずおずと隣を見上げた。
目が合った怜は、少し眉を下げたいつもの微苦笑を浮かべながら頷いてくれる。
美寧は、衝動的に自分がしたことでみんなに心配と迷惑をかけたのだと、今更ながらに気付く。
瞼が熱くなるのを感じて俯くと、目の前のガラス容器の中の色とりどりの金平糖がにじんでぼやける。
消えそうな声で「ごめんなさい」と口にすると、大きな手がそっと背中を撫でてくれた。