耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
自分は謝らなくてもいい?
いや、そんなはずはない。怜がどんなにそう言ったとしても、美寧はきちんと怜に謝らないといけないことがある。

美寧が大きく(かぶり)をふると、頬を包む怜の両手が離れた。自分の手で頬をゴシゴシと強くこすり、もう一度強く唇を噛む。痛みでなんとか涙を落ち着かせる。
そして、勢いよく頭を下げた。

「ごめんなさいっ!」

深々と頭を下げ、勢いのまま言葉を続ける。
言葉を止めたら、また涙に負けてしまうかもしれない。その前に、言わなければならないことを全部伝えないと———。

怜の研究の邪魔をしたのは父ではなかった。けれど、それ以外のことは美寧の責任。きちんと謝らなければいけない。

突然黙っていなくなったこと。
怜からの電話を取らなかったこと。
怜の気持ちを考えなかったこと。

「れいちゃんの気持ちも考えないで、黙っていなくなってごめんなさいっ……たくさん心配かけて、傷つけて……迷惑もっ………『謝らなくていい』、なんてこと絶対ない!れいちゃんだけじゃない。私だって弱かったの……だから自分のことしか考えられなかった……」

そして、“約束”をやぶってしまったことも———

「それだけじゃない……わたし……れいちゃんとの約束をっ……」

口にするだけで瞼がまた熱くなる。頭を下げているから、涙をこぼさないようにぎゅっと固く目をつむる。

絶対泣くまい。今度こそ泣かずに最後まできちんと言わなければ———

「やぶってしまいまし、た………」

喉の奥から込み上げる痛い熱を飲みくだす。

「約束…守れま、せんでした………ご、めん…な、さい」

震える声で最後の言葉を言い終わった時———、

美寧は怜に抱きしめられていた。

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