耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
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「メリークリスマス、美寧!」
玄関を開けるなり、そう言って抱き着いてきた兄。その両手には、大小さまざまな紙袋がぶら下げられている。
「お兄さまっ、急にどうしたの……」
「おまえ、ここのチーズケーキ好きだっただろう?」
目を丸くする美寧に、聡臣は紙袋のひとつを開いて見せる。可愛らしい猫の形の小さなチーズタルトが何種類も入っていた。
美寧の顔が、みるみる曇っていく。
「好きだけど……、好きだけどでもっ、……よりにもよって、今日じゃなくてもっ!」
大好物のスイーツを見て目を輝かせて喜ぶと思った妹は、喜ぶどころか怒りはじめ、聡臣は困惑する。二重の垂れ目がより一層下がった。
それを見た美寧は、さすがに言い過ぎたと気が付いて、慌てて口を開く。
「お兄さまもご一緒に食べていくのよね?」
聡臣にそう言ったあと、美寧は隣を見上げる。目が合った怜は美寧に頷くと、聡臣を見た
「聡臣さん。ちょうどこれから夕飯ですので、良かったらご一緒にいかがですか?」
「いや、それはさすがに……今日はお届けに上がっただけですし……」
急に遠慮がちになった兄に、美寧は『最初の時は急に来てお邪魔したじゃないか』という気持ちを込めてじろりと見上げる。
「そうよ、お兄さま。こんなにたくさん、私とれいちゃんだけじゃ食べきれないよ………あ、もしかしてこれから何かご予定があるの?」
「いや、それはない……では、お言葉に甘えて———お邪魔します」
怜が作ったローストチキンやピザが並ぶテーブルに、兄が持って来た生ハムやチーズが出される。ケーキは食後にすることにして、聡臣の持って来たシャンパンで乾杯をした。
「そうだ———忘れないうちにこれを」
聡臣が一枚の封筒を怜に差し出した。
「父からあなたへのクリスマスプレゼント、だそうです」
「———ありがとうございます」
封筒を受け取った怜が、聡臣に頭を下げる。
美寧がその封筒をじっと見つめていると、聡臣は「おまえへのクリスマスプレゼントもちゃんと預かってきているから、心配するなよ」と言った。
本来なら、父も一緒に来るつもりだったのが、急遽仕事が入ってしまい、来られなくなったという。
肩を下げた美寧に、兄は「父さんも残念がっていたよ。あとでメッセージでも送ってやって」と言って、頭を撫でた。
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「メリークリスマス、美寧!」
玄関を開けるなり、そう言って抱き着いてきた兄。その両手には、大小さまざまな紙袋がぶら下げられている。
「お兄さまっ、急にどうしたの……」
「おまえ、ここのチーズケーキ好きだっただろう?」
目を丸くする美寧に、聡臣は紙袋のひとつを開いて見せる。可愛らしい猫の形の小さなチーズタルトが何種類も入っていた。
美寧の顔が、みるみる曇っていく。
「好きだけど……、好きだけどでもっ、……よりにもよって、今日じゃなくてもっ!」
大好物のスイーツを見て目を輝かせて喜ぶと思った妹は、喜ぶどころか怒りはじめ、聡臣は困惑する。二重の垂れ目がより一層下がった。
それを見た美寧は、さすがに言い過ぎたと気が付いて、慌てて口を開く。
「お兄さまもご一緒に食べていくのよね?」
聡臣にそう言ったあと、美寧は隣を見上げる。目が合った怜は美寧に頷くと、聡臣を見た
「聡臣さん。ちょうどこれから夕飯ですので、良かったらご一緒にいかがですか?」
「いや、それはさすがに……今日はお届けに上がっただけですし……」
急に遠慮がちになった兄に、美寧は『最初の時は急に来てお邪魔したじゃないか』という気持ちを込めてじろりと見上げる。
「そうよ、お兄さま。こんなにたくさん、私とれいちゃんだけじゃ食べきれないよ………あ、もしかしてこれから何かご予定があるの?」
「いや、それはない……では、お言葉に甘えて———お邪魔します」
怜が作ったローストチキンやピザが並ぶテーブルに、兄が持って来た生ハムやチーズが出される。ケーキは食後にすることにして、聡臣の持って来たシャンパンで乾杯をした。
「そうだ———忘れないうちにこれを」
聡臣が一枚の封筒を怜に差し出した。
「父からあなたへのクリスマスプレゼント、だそうです」
「———ありがとうございます」
封筒を受け取った怜が、聡臣に頭を下げる。
美寧がその封筒をじっと見つめていると、聡臣は「おまえへのクリスマスプレゼントもちゃんと預かってきているから、心配するなよ」と言った。
本来なら、父も一緒に来るつもりだったのが、急遽仕事が入ってしまい、来られなくなったという。
肩を下げた美寧に、兄は「父さんも残念がっていたよ。あとでメッセージでも送ってやって」と言って、頭を撫でた。
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