耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「ミネ———どうかしましたか?」
すぐ目の前に怜の顔があって、一瞬で顔が熱くなる。
隠しようのないほど真っ赤になった美寧の額に、怜がそっと手を当てた。
「熱は……ない、ですね………」
心配そうな声。怜はずっと気にしているのだ。美寧の体調を。気持ちを。
美寧が熱を出したのは自分のせいだと、怜は自分のことを責めているのかもしれない。
『分からないことは素直に訊けば良い』
昼日中の明るい公園で、思いも寄らない美寧の相談に乗ってくれた杏奈。彼女の言葉は、美寧の中にしっかり根付いていた。
「れいちゃん………」
「はい」
「あっ、あの、……あれって、一回だけなの?……もしかしたら私、勘違いしてたのかな………?」
「……あれとは?」
「あ、あの……えっと、その………この前の………」
顔を真っ赤にしてもごもごと口ごもる美寧に、怜が軽く目を見張る。
「俺は………あの日、あなたに無理を強いてしまったこと、反省しました。よく考えれば分かることでした。前の日にあんなに大変なことがあったのだから、あなたの体が限界に近いということを………」
「でも、それはれいちゃんのせいじゃ、」
「いいえ。結果、あなたは体調を崩してしまった。それまで積み重なる疲労でギリギリだったあなたの体力を、俺が最終的に崩してしまった………」
眉を下げて「すみませんでした」と謝る怜。そんな彼を見ているうちに、美寧の中からむくむくと、なんとも言えない気持ちが込み上げてきた。それは少し怒りに似ていて。
「あのね、れいちゃん。もう大丈夫なんだよ?」
めずらしく眉を釣り上げている美寧に、怜は涼やかな瞳を見張った。