耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
[2]
昼ご飯は『あまりお腹が減っていない』という美寧の為に、怜は“にゅうめん”を作ってくれた。
軽い昼食を済ませた二人は、もとから予定していた用事を済ませに出掛けた。
そして、その帰り道———
「美寧ちゃん、お出掛けの帰りかい?」
「あら、デート?いつも仲が良くていいわねぇ」
「おっ、藤波さん、ちょうど良かった!安納芋と黒豆、良いのが入ったよ!」
駅前から家に向かって商店街を抜けるまでの間に、出逢った人々が次々と二人に声をかける。
その度に、「こんにちは」「ありがとうございます」「また来ますね」などと言葉を返しながら、出逢った人たちに手を振る。そして、顔を見合わせて微笑み合う。
のんびりとした足取りで帰路を進んでいると、商店街の一番端、【カフェ ラプワール】の前に差し掛かった。【Closed―準備中―】の札が下がっているドアを、美寧はじっと見つめる。
「マスターにも、また改めてご報告に行きましょうね」
「うん………」
マスターには数日前に“今日のこと”を報告した。
そのときのマスターは、いつもの優しげな瞳を大きく見開き、しばらく絶句していた。
そして、いったんは何か言おうと口を開き、また閉じる。それを数回くり返したあと、こぼすように一言だけ口にした。
『おめでとう———と。
微笑んでいるマスターの顔が、なぜか少し寂しそうに見えて、美寧は『ありがとうございます』と返した後は何も言えなかった。
昨日のアルバイト上がりの時も、マスターは『お疲れさん。気を付けて帰れよ』と美寧を送り出した。いつもと変わらないのに、どこか寂しげで、美寧はずっと気になっているのだ。
昼ご飯は『あまりお腹が減っていない』という美寧の為に、怜は“にゅうめん”を作ってくれた。
軽い昼食を済ませた二人は、もとから予定していた用事を済ませに出掛けた。
そして、その帰り道———
「美寧ちゃん、お出掛けの帰りかい?」
「あら、デート?いつも仲が良くていいわねぇ」
「おっ、藤波さん、ちょうど良かった!安納芋と黒豆、良いのが入ったよ!」
駅前から家に向かって商店街を抜けるまでの間に、出逢った人々が次々と二人に声をかける。
その度に、「こんにちは」「ありがとうございます」「また来ますね」などと言葉を返しながら、出逢った人たちに手を振る。そして、顔を見合わせて微笑み合う。
のんびりとした足取りで帰路を進んでいると、商店街の一番端、【カフェ ラプワール】の前に差し掛かった。【Closed―準備中―】の札が下がっているドアを、美寧はじっと見つめる。
「マスターにも、また改めてご報告に行きましょうね」
「うん………」
マスターには数日前に“今日のこと”を報告した。
そのときのマスターは、いつもの優しげな瞳を大きく見開き、しばらく絶句していた。
そして、いったんは何か言おうと口を開き、また閉じる。それを数回くり返したあと、こぼすように一言だけ口にした。
『おめでとう———と。
微笑んでいるマスターの顔が、なぜか少し寂しそうに見えて、美寧は『ありがとうございます』と返した後は何も言えなかった。
昨日のアルバイト上がりの時も、マスターは『お疲れさん。気を付けて帰れよ』と美寧を送り出した。いつもと変わらないのに、どこか寂しげで、美寧はずっと気になっているのだ。