耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
[2]


「それで?何があったの?」

助手席に座っている涼香(りょうか)から、いきなりそんな質問が飛んできた。
「えっと……」と言ったきり、美寧は言葉を続けることが出来ない。

涼香が振り返った。

「フジ君とケンカでもした?」

「ケンカ……とかじゃ、ないです……」

美寧が答えると、涼香は「まあ、そうでしょうね」と頷いた。

「じゃあ、いったいどうしたの?体調はさっき診て大丈夫だったし、あ、他に気になることでもあった?それとも何かフジ君には言えないことで、困ったことでも、」

「涼ちゃん———」

助手席の涼香の隣、運転席でハンドルを握っている男性が口を開いた。

「落ち着いて?尋問じゃないんだから。そんなに次から次と訊いたら、美寧さんも困ると思うよ?」

「そんなつもりじゃなくて……私はただ、美寧ちゃんが泣きそうな顔してたから……」

「ほら、とりあえず二人でゆっくりお茶でもしてきなよ?女の子だけの方が言いやすいこともあるでしょ?二人を送って行ったら、俺は約束通り健(たける)と公園で遊んでくるから」

ハンドルを握っている彼とルームミラー越しに目が合って、今の台詞は自分に向けて言ったのだと分かる。

涼香に半分強引に連れ出されたものの、美寧は自分の為に家族の大事な時間を無駄にするわけにはいかない、と思った。

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