耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「聡臣さんもあなたに会いたかったのですよ。それに、『美寧の手作り』と聞いたら、待ちきれなかったのではないですか?」

「うん……」

「とても喜んで頂けたのでしょう?」

想像に(かた)くないと思いながら訊くと、やっぱり「うん」と(うなず)かれる。

「なら、気にしなくても良いのですよ。聡臣さん本人が『そうしたい』と思ってされたことです。むしろ、喜びで明日からも頑張れるのでは?」

「……うん、お兄さまにもそう言われたの……」

そうだろう、と思いながら頷いて、「お父さまも喜ばれたでしょう」と話題を変えてみる。すると案の定、一気に美寧の表情が明るくなった。

「うん!お父さまからもお礼のメッセージが来たの!」

「良かったですね」

怜がそう言うと、美寧は「うん」と頷いたあとすぐ、「でも、お口に合えば良いのだけど……」と心配そうに眉を下げた。

訊くと、父からのメッセージには「美味しかった」とあったようだが、甘いものを好まない父の口にあったか心配になったのだろう。

怜がさっき食べたチョコレートは甘さも控えめで食べやすかった。しかも洋酒の香りがしっかりしていたから、あれならお酒好きの義父も喜ぶだろう。

「とても美味しかったから大丈夫」と言おうとしたが、美寧が口を開く方が早かった。

「あ、でも。マスターも『美味しい』って言ってくれたからきっと大丈夫かな……」

「マスター……にも?」

「うん。少し多めに作ったから。最近のバレンタインって、『日頃のお世話になっている人』にも贈るんだってね!涼香先生が教えてくれたの」

「それで……」

ローテーブルの上の小箱に視線を遣って黙り込んだ怜に、美寧が「れいちゃん?」と声を掛けてくる。こちらを伺う気配を感じるが、敢えて顔を向けない。
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