耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「そんなことない!私にとってれいちゃんは『特別』だよ!」

「そうですか?」

訊きながら髪を撫でると、美寧が大きく頷くのが伝わる。

「じゃあ、……お願いしてもいいですか?」

「もちろんだよ!私に出来ることがあるなら言って!」

「ではお言葉に甘えて―――」

体に回された腕をそっと外すと、怪訝そうな顔をした美寧。その両脇に手を差し込んで、素早くその体を持ち上げる。
「にゃっ!」という可愛らしい声と同時に、小さな体は怜の膝の上におさまった。


「こんなふうにあなたを抱きしめるのは、俺だけの『特権』?」

顔をのぞき込みながら、ねだるようにそう訊ねると、美寧は大きな瞳を三回(しばた)かせてから、「も、もちろん」と頷く。

「あなたのチョコレートを、『特別』に味わえるのも?」

「うん?……えっと、もちろん?……だよ」

「ではお願いします」

「え―――?」

「あなたの作ったチョコレートを、俺だけの『特別』な方法で食べてみたい」

怜がにっこりと微笑むと、美寧が固まった。その顔がみるみる赤くなっていく。


(少し意地悪をしすぎたかな……)

一緒に暮らし始めた最初の頃、『パンケーキを食べさせて』と言った時の彼女の反応を思い出す。

きちんとしたマナーを躾けられた彼女にとって、異性に「あーん」と食べさせる行為は、自分が思っているよりはるかに恥ずかしいものなのかもしれない。

(好きな子をイジメたくなるような性癖は、自分にはないと思っていたのだけど……)

これも意外な発見だと苦笑が漏れかける。

あまり無茶を言うのも良くないだろうと思い直し、「冗談です」と言いかけた寸前―――。

「わ、分かった!」

勢いの良い声の方が少しだけ早かった。

真っ赤な顔の美寧がチョコレートの箱に手を伸ばし、その中からひとつを細い指で摘まむ。
恥ずかしいと思いながらも怜の我がままをきいてくれようとする美寧が愛おしくて堪らない。白い手が運んでくるそれを受け取ろうと口を開いた時、美寧はおもむろにそれを自分の口に入れた。

「え?」と怜が目を見張った次の瞬間―――

美寧は怜の顔を両手で挟み、自ら唇を重ねた。

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