耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
驚きで見開いた怜の目に映るのは、震える長い睫毛。
唇に感じるのは、確かな温もりと柔らかさ。

小さいけれどふっくらとした唇が、怜のものに押しつけられていた。

息をのんだ瞬間、上唇が控えめにペロリと舐められる。

それは、“特別なキス”の合図(サイン)―――。

(つつ)ましやかな合図に、胸の底から情欲がじわりと湧きあがり、同時に思考停止が()ける。
自分から合図を送っておきながら引き返そうとする舌を絡めとり、そのまま一気に咥内に侵入した。

そこは名実ともに甘かった。

カカオの香りと苦みと甘さ。それと同時に鼻に抜けるブランデーの香り。
洋酒が入っていることはひと口目に食べた時にすぐに気が付いた。思ったよりもたくさん入っているのだろう。ブランデーの香りがカカオの香りに消されることもない。

彼女の口の中のチョコレートを、味わうように舌で転がしてから、溶けかけたチョコレートを唾液と合わせるようにかき混ぜる。

愛しい人の感触と彼女が作ってくれたチョコレートをいつまでも味わっていたい。唾液の中に溶けるひとしずくまでも残したくなくて、咥内を丁寧に拭った。


口の中にはもう、少しの欠片も残っていないほどに「美寧のチョコレート」を堪能した怜。
離しがたい唇を何度か啄んでからゆっくりと離れると、口の端に着いたものが目に入る。

舌で拭ってみるとやっぱり甘かった。


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