耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「ほんと?」

俯き気味のまま視線だけを持ち上げて見上げてくる様子が、子猫のように可愛いらしくて、つい口元がゆるんでしまう。

「本当。それに、『サプライズ』が嬉しいという気持ちも本当です。手作りチョコを貰うのは久しぶりだったから……」

「そう、なの……?」

「はい」

きっぱりと言い切った怜に、美寧の顔が少し明るくなる。

「そっかぁ……」

嬉しそうにはにかんだ美寧に、怜はほっと肩を撫でおろす。危うく初めてのバレンタインを台無しにするところだった。

にこにこと微笑む彼女額に、謝罪の気持ちを込めくちづける。弓なりになっていた瞳がぱっちりと見開かれ、白い頬が薄く朱に染まった。

(可愛いな……)

唇へのキスも、さらに深い“特別なキス”も、もう数えきれないくらい交わしているというのに、こんな些細なことで頬を染める彼女が堪らなく愛おしい。
体を重ねることにも少しずつ慣れてきた彼女は、恋人から妻と肩書を変えた今も、その初々しさを失っていない。

愛しい妻の輝くような笑顔に、怜は思わず見惚(みと)れていた。

(こんなに可愛いひととずっと一緒にいられる『特別』を貰ったのだから、俺はもっと独占欲を押さえるべきだろ……)

そう自分に言い聞かせる。

「だから、ミネが初めて作った生チョコを貰うのが俺だけじゃない、ということくらい我慢しないとな……」

いつのまにか心の呟きが声になっていた。

すると美寧が「あっ!」と声を上げ、慌てたように言った。

「ちがうのっ!……“生チョコ”はれいちゃんだけなの!」
< 421 / 427 >

この作品をシェア

pagetop