耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「りょ、…涼香先生が……」

「ユズキが……?」

「……バレンタインのプレゼントだってくれて……」

怜は瞬時に悟った。あの面倒見の良い(・・・・・・)友人が、『バレンタインの日に着てね』と言って美寧にプレゼントしたのだろうことを。

「あとね……特別な日は、服の下もきちんと綺麗に装うことが『淑女(レディ)のたしなみ』だって教えてくれたの……だから……」


(ユズキめ……)

いったいどちら宛て(・・・・・)なのか微妙なプレゼント。
それを寄越してきた十年来の友人の、華やかな笑みが脳裏に浮かんで、無意識に眉根が寄ってしまう。

珍しく渋い顔をした怜に、美寧が突然「やっぱり似合ってないよね……私には少し大人っぽすぎたかも」と慌てたように言って、落ちているナイトウェアに手を伸ばす。

咄嗟にその手を掴んだ。
振り向いた美寧と至近距離で見つめ合う。

透けるような肌。薄桃色に染まる頬。ふっくらとした小さな唇。
長い睫毛に縁どられた瞳は潤んでいる。

目の前の妻は、蝶を呼び寄せる花のような色香を漂わせながら、同時に、やすやすと触れてはいけないような神々しさをも放っている。

怜は目の前がくらりと揺れるような気がした。


「完敗です」

「え?」

「あなたには本当に敵わない」

意味が分からずに首を傾げる美寧の唇をすばやく奪った。

目を丸くした彼女を強く抱きしめて、何度も深くくちづける。
角度を変えながら深く、深く。

「このまま…ここで———いい?」

その姿を隈なく脳裏に焼き付けたくて、思わずそう訊いていた。

明るいリビングのソファーの上。
ここではダメだと言われると思ったのに、彼女は溶けかかったチョコレートのような甘い瞳を細め、微笑んだ。

「うん……旦那さまのためにがんばったの。だから……」

それどころか、両腕を怜の首に回して自ら唇を重ねてくる。

押し付けていた唇を離した美寧が言った。

「いっぱい味わって―――怜」

「っ、」

怜は衝動的に美寧の唇を奪った。
深くくちづけながら、小さな体をソファーに沈める。

(つや)やかな髪がふわりと波打ち座面から落ちた。
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