耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
***


コスメカウンターを後にすると、涼香は美寧を連れてそのまま上の階も回った。
短時間の間に、洋服、バッグ、アクセサリーと様々なものを美寧につけさせては、ポンポンと躊躇なく買っていく。
最初は圧倒されていた美寧も、段々とショッピングを楽しめるようになっていた。
沢山のショッピングバッグをぶら下げた二人は、休憩がてらカフェに入った。


「こんなに沢山……本当にいいんですか?頂いてしまって……」

「いいのよ。私が勝手に引っ張ってきたんですもの。美寧ちゃんに断りもなくあれこれと首を突っ込んでしまったお詫びも兼ねてるの」

「お詫びなんてそんな……私、自分じゃ全然おしゃれとか分からなくて。だから涼香先生が選んでくださってすごく助かったんです。本当にありがとうございます」

「そう言ってもらえて良かったわ。でも美寧ちゃんはそのままでも十分魅力的な女の子だってこと、忘れないでね?私がしたのは、どちらかというと自覚と自信を持つためのお手伝い」

涼香は「ね?」と言って軽快なウィンクを飛ばしてから、「お手伝い、と言えば」と思い出したように言う。

「残念だわ……あの神原さんっていうBAさん。美寧ちゃんと年も近いからこれからも色々とお世話になれたら良かったのに……」

「そうですね……北海道はさすがに遠いですよね……」

美寧にメイクを施してくれたBAにあれこれと話をしたところ、彼女は本来、札幌のデパートのコスメコーナーで働いているという。数日間の研修の為、本社に出張で来ていたらしいが、子どもの急な発熱で欠席した佐々木の代わりにピンチヒッターとして入っただけらしかった。

「とても素敵な人でした」

「また機会があればお願いしたいわね」

「はい」
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