耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「それはそうと、美寧ちゃんはずいぶん頑張り屋さんなのね。聞いたわよ、お料理頑張ってるんだって?」

「はい。でも頑張ってはいるんですけど、なかなか上手くはならなくて……」

「苦手な事を克服しようと頑張るなんて、十分えらいわよ。私、昔から勉強や仕事は出来たのだけど、家のことは全然なの。今もほとんど航に任せてばかり。少しずつでも出来るようになってる美寧ちゃんの方がずっとすごいわ」

「そうなんですか?涼香先生、何でも出来そうなのに……」

以前やって来た高柳が、涼香は『料理は全くダメ』と言い、怜も怜で『ユズキに家事能力は期待できませんね』と言っていたが、本人から聞くまでは半信半疑だった。

「航はうちの病院で看護師として働いてくれてるの。家事も得意だし、公私ともに私のことを支えてくれる。航には本当に感謝してもしきれない。だから私も自分に出来ることを一生懸命やるだけよ」

「そうだったんですね……」

「うん。でも私も美寧ちゃんを見習って、少しくらい料理を頑張らなきゃ。好きな人に『美味しい』って言ってもらいたいものね。お互い頑張りましょうね」

涼香の台詞に美寧は大きく頷いた。それを見た涼香が微笑む。

「フジ君はあなたのことをとても大事にしてるから心配はしてないのだけど、でももし何かあったらいつでも連絡してね」

そう言って、お互いのスマホの連絡先を交換した。
涼香は嬉しそうにスマホを眺めた後、「お節介でごめんね?年のせいかも」と言って、ペロリと舌を出した。


美寧がキャラメルラテを飲み終わると、「そろそろいい頃合いかしら」と涼香が言う。
店内の時計に目を遣ると、予定の時間を三十分も過ぎている。

「涼香先生、時間がっ……」

「大丈夫、ちゃんと連絡してあるから。でも、ちょうどいい時間だから出ましょうか」

そう言って立ち上がった涼香に、美寧も席を立った。



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