耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
[3]
「楽しかった?」
「すごく!……」
さっきまでの楽しかった時間を思い出してた涼香は、一瞬テンションの上がった声を出してしまった。慌てて口を閉じちらりと斜め後ろを振り返ると、後部座席のチャイルドシートで健が気持ちよさそうに眠っている。
公園で遊び疲れたのか起きる気配はないけれど、それでも息子を起こさないよう声のボリュームを落とし、涼香は運転する夫へ顔を向けた。
「ありがとうね、航。おかげで美寧ちゃんの話をじっくり聞けたわ」
「どういたしまして。でも、めずらしいね」
「ん?何が?」
「涼ちゃんがこんなふうに他の人の恋愛に首を突っ込むこと」
「………そうかしら」
「普段から『ヒトはヒト』『ヒトサマのことに口は出さない』って感じでしょ?」
「………そうね」
「長い付き合いの友人のこととはいえ、あんまりよそ様の恋愛に口を出すのは良くないんじゃないかな?俺は、美寧ちゃんと藤波さんが一緒のところを見たのは今日が初めてだけど、涼ちゃんからの話を聞いた限りでは、二人仲良く平和に暮らしてるように見えたよ?特に涼ちゃんが必要以上に世話を焼く必要はないように思うけど」
「うん、そうね。分かってる……分かってるんだけど……」
「だけど?」
涼香は一旦閉ざした口を、運転席の方を見ずに再び開いた。
「反省してる……航の言う通りだと思うわ。あとでフジ君にも叱られるかも、とは思ってる」
「じゃあどうして?そこまで分かってて、なんで二人の間に首を突っ込むの?」
「………」
再び口を閉ざした涼香に、航もそれ以上問い詰めるようなことは言えない。彼女が考えていることを話したくなるまでじっと待とうと、フロントガラスの向こう側へ意識を集中させた。
オーディオから聞こえてくるラジオDJが紹介した曲が終わり、次の曲が始まった頃、涼香はポツリと言った。
「あの子なら…………出来るんじゃないかって」
「え、」
「フジ君を変えることが出来るかもしれない———美寧ちゃんなら」
「変える?藤波さんを?」
「うん……上手く説明出来ないのだけど……」
そう前置きすると、涼香はずいぶん前から密かに抱えていたことを話し始めた。
「楽しかった?」
「すごく!……」
さっきまでの楽しかった時間を思い出してた涼香は、一瞬テンションの上がった声を出してしまった。慌てて口を閉じちらりと斜め後ろを振り返ると、後部座席のチャイルドシートで健が気持ちよさそうに眠っている。
公園で遊び疲れたのか起きる気配はないけれど、それでも息子を起こさないよう声のボリュームを落とし、涼香は運転する夫へ顔を向けた。
「ありがとうね、航。おかげで美寧ちゃんの話をじっくり聞けたわ」
「どういたしまして。でも、めずらしいね」
「ん?何が?」
「涼ちゃんがこんなふうに他の人の恋愛に首を突っ込むこと」
「………そうかしら」
「普段から『ヒトはヒト』『ヒトサマのことに口は出さない』って感じでしょ?」
「………そうね」
「長い付き合いの友人のこととはいえ、あんまりよそ様の恋愛に口を出すのは良くないんじゃないかな?俺は、美寧ちゃんと藤波さんが一緒のところを見たのは今日が初めてだけど、涼ちゃんからの話を聞いた限りでは、二人仲良く平和に暮らしてるように見えたよ?特に涼ちゃんが必要以上に世話を焼く必要はないように思うけど」
「うん、そうね。分かってる……分かってるんだけど……」
「だけど?」
涼香は一旦閉ざした口を、運転席の方を見ずに再び開いた。
「反省してる……航の言う通りだと思うわ。あとでフジ君にも叱られるかも、とは思ってる」
「じゃあどうして?そこまで分かってて、なんで二人の間に首を突っ込むの?」
「………」
再び口を閉ざした涼香に、航もそれ以上問い詰めるようなことは言えない。彼女が考えていることを話したくなるまでじっと待とうと、フロントガラスの向こう側へ意識を集中させた。
オーディオから聞こえてくるラジオDJが紹介した曲が終わり、次の曲が始まった頃、涼香はポツリと言った。
「あの子なら…………出来るんじゃないかって」
「え、」
「フジ君を変えることが出来るかもしれない———美寧ちゃんなら」
「変える?藤波さんを?」
「うん……上手く説明出来ないのだけど……」
そう前置きすると、涼香はずいぶん前から密かに抱えていたことを話し始めた。