耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー

十年来の友人として今も付き合いのある藤波怜とは、大学一年生の時に入ったESSサークルで出会った。

医学部の自分と理工学部の怜。同じ理系で生物系という共通項もあり、話題に困ることはない。怜は意外と専門外の知識も豊富で、涼香は彼との会話で驚かされることが度々あった。

何でもハキハキと自分の意見を言うタイプの自分とは違って、怜はあまり自分の主張を前面に押し出すタイプではない。どちらかというと、チームを後ろから見守りながら絶妙なタイミングで的確なサポートを入れる、名補佐役的な存在だった。

ちなみにこのESSサークル、近隣の大学のESSサークルとも交流する規模の大きな団体で、その交流を通じてもう一人の友人、高柳滉太(たかやなぎ こうた)とも知り合ったのだ。


高柳もそうだが、驚くほど整った容姿を持つ怜もまた、女子たちに人気があった。同学部やサークル内だけには留まらず、他学部にも噂は広まるようで、彼と一緒にいるとあちこちから羨望の視線を受けることはしょっちゅうある。

当の涼香は、この時すでに幼馴染みである航と付き合っていて、怜や高柳に気持ちが揺れたことは一度もない。

子どもの時からずっと好きだった幼馴染みと、晴れて両想いになったばかりの涼香にとって、胸を焦がすのは航だけ。だから “イケメン”と言われる怜や高柳の隣にいても、まったく心うごかされることはない。二人ともただの気の合う友人でしかなかった。


けれどそんな涼香の実情など周囲には関係ないのだろう。
怜や高柳と一緒にいると、彼らのファン(・・・)からやっかまれたり変な言いがかりをつけられることがよくあった。

涼香は、そんなことに負けるようなやわ(・・)な性格ではない。
ある程度は無視したりしたが、あまり謂れのない誹謗中傷には言い返したし、どうかしたら返り打ちにあわせることもあった。

たとえ外野にどんなことを言われても、涼香は性別を超えて気の合う友人との付き合いをやめるつもりはさらさらなかったのだ。


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