耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「こんにちは」

美寧と目が合うと、怜はゆるく口角を上げ微笑んだ。そしてマスターに会釈をし、ゆっくりと美寧の方まで歩いてくる。

「どうしたの?お仕事は?」

「今日は講義がもうなかったので、早く帰ってきたのです」

「そうなんだ。お疲れさま」

怜が思いのほか早く帰って来られたことが嬉しくて、美寧の顔が勝手にほころんでいく。

「ブレンドホットをお願いしますね、店員さん」と言ってから、怜がカウンターのスツールに腰を下ろした時、美寧の斜め後ろから声が聞こえてきた。

「ふ、ふ、……」

振り向くと、目を丸く見開いた神谷が口をパクパクとさせている。

「神谷さん?」

「ふ、藤波准教授だ………」

やっと口から発した言葉に、怜が視線を上げる。

「ああ……君は確か、神谷くん、でしたかね?」

「は、はい!教育学部の神谷颯介と言います」

「神谷君はここでアルバイトを?」

「はい!今日からなんです。藤波先生は、お近くにお住まいなんですか?」

「ええ」

「そうだったんだ……」


怜と神谷の遣り取りを横で見ながら、美寧は少し不思議だった。

怜はまるで神谷がここでアルバイトをしていることを今知ったかのように話したが、昨日自分が伝えたから知っていたはず。

どうしてだろう。そう思ったけれど、大学での仕事のこともある。余計なことは言わない方が良いのだろうと、美寧は黙って怜の前に水の入ったグラスを置いた。

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