耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「気にしなくていいのですよ。疲れが溜まっていたのかもしれません」
食事の準備が整ったテーブルの上を見ながら申し訳なさそうに眉を下げる美寧とは逆に、怜は特に気にしたふうもない。
それが本心からのものだと分かってはいるけれど、美寧はやっぱり申し訳なく思ってしまう。
美寧が朝寝坊から起きてきた時には、すでに洗濯掃除という朝の通常業務が済んでいて、その上食事の準備もほとんど終わっていた。あとは美寧が起きてくるのを待つだけ、という状態で、怜はリビングで仕事の資料を読み込んでいるところだった。
肩を下げてシュンとする美寧。怜は彼女の横の椅子を音を立てずに引いてやり、座りやすいようにエスコートしてから自分の席に着く。そして訊ねた。
「ミネにはこのあと紅茶を淹れて頂きたいのですが、良いですか?」
「紅茶?うん、それはもちろん」
「良かった。次に出すメニューには紅茶が合うと思うので」
ダイニングテーブルの上に並ぶマグカップには、今は温かいほうじ茶が入っている。
「え、何か作ったの!?れいちゃん」
「はい。簡単なものですが」
「なになに!?なにを作ったの?」
美寧の目が途端に輝き始める。スイーツに目がないのだ。特に怜が作るものに。
「それは目の前のお皿が空になってからのお楽しみです」
「うぅっ、……はい」
怜はクスリと小さく笑うと、「食べましょう」とダイニングテーブルに向かい合って手を合わせ、二人同時に口にした。すっかりお馴染みになった食事風景である。
美寧はあらためてテーブルに視線を落とした。
「おいしそう~!」
大きな白いプレートの上にはベーグルサンド。
正確には美寧の分は“サンド”ではない。ベーグルの上半分は乗っていないので”オープンサンド”と言った方が正しい。怜の分はきちんと“サンド”になっている。
その隣には、ぽってりとした形のスープボウルも乗っている。中身はきのこポタージュだ。
「いただきます!」
美寧はもう一度そう口にすると、フォークとナイフを手に具とパンを上手に一口大に切り分け口に運んだ。