耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「お、おいしい!!」

目を輝かせた美寧に、怜が口角を上げる。

「ごぼうシャキシャキ!照り焼きチキンが甘辛くって、ごぼうのドレッシングにもすごく合うね!」

「良かったです。ありがとうございます」

美寧が口にしたベーグルは、胡麻ベーグルの上にレタス、胡麻マヨソースのゴボウサラダ、角切り照り焼きチキン———それらが下から順に乗っている。

怜が一番上にベーグルの上半分を重ねなかったのは、美寧の腹具合を計算したから。
この後に出てくるもうひと種類のベーグルが入らなくなったら、彼女ががっかりするのは明白。

美寧はここに来た当初よりもずいぶん食べる量が増えたとはいえ、小食なことに変わりは無い。もともと沢山食べられる方ではないのだろう。それなら少ない量でもきちんと必要な栄養が取れるように、怜はなるべく多くの食材を美寧が口に出来るように気を配っているのだ。


「このベーグルもすごくおいしいね!胡麻が香ばしくてすごく《《もっちり》》してる!」

「本当ですね。小川さんのパンはどれを買っても、一度も外れたことはないのですよね」

怜がしみじみと言う。

ベーグルは昨日商店街のパン屋で買ってきたものだ。
大抵のものは自分で作ってしまう怜だけど、パンだけはいつも【ベーカリー小川】で買ってくる。

【ベーカリー小川】はこじんまりした店舗のパン屋であるが、パン職人の店主が実はフランス帰りの実力派で、商店街の小さなパン屋とは思えないほど美味しいパンを焼く。
怜も何度かパン作りに挑戦したことがあるらしいが、本人が納得いく出来上がりにならなかったようで、以降パンはプロが焼いたものを買うことに決めてしまったようだ。


そんな話をしているうちに一つ目のベーグルサンドがあっという間に空になった。

「俺は二つ目の準備をします。お湯も沸かしておきますね」

「うん。じゃあ私は紅茶淹れるね!」

立ち上がった二人はキッチンへ一緒に向かった。

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