偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「……ありがとう、ございます」

私は、彼に金で買われた妻だ。
しかもまだ知り合って五日だが、彼が私を愛してくれているのはわかる。

……どうしてかはわからないけど。

そのうち私も、彼を好きになるのだろうか。

「まあ、これからはなんでも好きにすればいい。
でも……絶対に最上階にだけは行くなよ。
あそこには東峰さんが住んでいるから」

ナイフフォークを置き、彼が眼鏡の奥から私をじっと見る。

「……はい」

その真剣な目に、私も重々しく頷き返した。
今日のあれを見れば、東峰さんとは極力、関わらない方がいいのはわかる。

「あの、東峰さんってどういう方なんですか」

関心がある、というよりも今後、彼になにかしてしまわないように情報が欲しかった。
年は私と同じくらいに見えたが、そのオーラはすべての人間の上に君臨する絶対支配者そのものだ。
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