偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「女性の復帰は難しいとは聞いていたけどさー」

ここまでだとは思わなかった。
条件としては前と同じだけ働けるのだ。
それでも、ダメだなんて。

投げやりな気分でひとつずつメールを確認していく。

「あ……。
やった」

思わず、机の下で小さくガッツポーズした。
一次通過、面接の連絡が来ていた。

「決まるといいな」

少しだけ前向きになり、パソコンを落とす。
今日はあまり時間がないから、ここで終わりだ。

――ピンポーン。

「はーい!」

インターフォンが鳴り、玄関を開ける。

「こんにちはー」

入ってきたのはオフィスビルに入っている美容室のスタッフ、花井さんとその助手だ。
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