偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「……疲れた」

タクシーの中で、ぐったりと背もたれにもたれかかる。
お稽古自体は何事もなく終わった。
御津川氏に何度か連れていかれたラウンジで、セレブたちとの付き合い方を学んでいたおかげだ。

「……はぁーっ。
いろいろ御津川さんと、相談しなきゃ……」

しかしながら、私が上流階級入りしたことによって、生じた問題もある。
いままでどおり裏方を続けていたいんです、なんてもう、許されないんだな……。

御津川氏の会社の前でタクシーを降りた。

「改めてみると、大きな会社だよね……」

FoSも一等地に立派なビルをかまえていたが、こちらも負けず劣らずのビルが建っている。

「御津川です。
主人はいますでしょうか」

「少々お待ちください」
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