偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
受付嬢が彼の所在を確認する間、また視線がちらちらと私に向かう。
わけもなく見られるのは非常に気持ち悪いし、心当たりもない。

「李亜!」

すぐに降りてきた御津川氏は、私を見つけた途端……抱きついてきた。

「やっぱり、着物の李亜は綺麗だな!
ここはすぐにわかったか?
さて、なにを食いにいこうか」

矢継ぎ早に話しかけながら、さりげなく私をエスコートして出入り口へと向かっていく。
視界の隅でお辞儀をする男性が見えたが、きっと秘書なのだろう。

「近くに旨い、鉄板焼きの店があるんだ」

御津川氏に腕を取られ、一緒に歩く。
それはいいんだけど……視線が。
最初は、彼を見ているんだと思った。
でも、それはどうも、私に向かってきている。

「どうした?」

少し、身体を寄せた私を、彼は怪訝そうに見下ろした。

「……なんか、見られているので」
< 117 / 182 >

この作品をシェア

pagetop