偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「大正時代の銀行を移築してるんだ。
凄いだろ?」

御津川氏に伴われ、店に入る。
店内もその当時にあわせているみたいで、とてもノスタルジックだった。

案内された個室では、目の前に鉄板が広がっている。
スタッフが下がると同時にシェフが入ってきて、今日のコースを説明してくれた。
伊勢エビに宮崎牛と豪華コースだが、さすがにそれにもそろそろ驚かなくなってきた。
慣れって怖い。

「今日のお茶教室はどうだったんだ?」

シャンパン片手にアミューズの焼きトマトを食べながら御津川氏が訊いてくる。

「そう、ですね……」

相談しないといけないことはある。
でも、それは金の無心をするかのようで言いづらい。

「どうした?」

言い淀む私の顔を、不思議そうに彼がのぞき込む。
黙っていたところで、解決できるわけでもない。
思い切って、口を開いた。
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