偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
伊勢エビのグリルが出てきて、飲み物も白ワインに変わった。

「……」

好きにしていい、なんでも買え。
御津川氏はいつも私にそう言うが、本当にそれでいいのか、って気持ちが常について回る。
私は彼に買われたのに、それに金をつぎ込む御津川氏は、私の目から見れば酔狂でしかない。
だからこそ、早く再就職してしまいたいのもある。

「まあ、いい。
李亜はまだ、俺の愛を信じてないみたいだしな」

ふっと僅かに笑い、ワイングラスを口に運んだ彼の顔は、酷く淋しそうに見えた。

デザートまで堪能し、店を出る。
帰りは、当然ながらタクシーだった。

「……酔った」

帰り着いた途端、彼はごろんとソファーに寝そべった。

「飲み過ぎですよ」

キッチンでグラスに水を注ぎ、彼に渡す。

「そーかなー?」
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