偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
意外そうな顔をして立っていたのは私の元上司でいまはFoSCompanyの社長、夏原陽人さんだった。
「ひさしぶりだな」
通りかかったボーイを止め、夏原社長は私にもワインを勧めてくれた。
「課長……社長の下で働いていた頃が懐かしいです」
彼が社長に就任したのは今年一月。
それまでなにも知らずに彼の下で働いていて、実は社長の息子で……なんて発表があったときは驚いたものだ。
正直に言えば、マッチングアプリに手を出したのも、会社を辞めたのも、彼が結婚し、直属の上司じゃなくなったからというのも少しはある。
夏原課長は私の――憧れでもあったから。
「でもなんで、こんなところに?」
僅かに、彼の首が傾く。
それはそうだろう、こんなところで元部下に会うだなんて思わない。
「御津川社長と結婚したんです。
それで」
「ひさしぶりだな」
通りかかったボーイを止め、夏原社長は私にもワインを勧めてくれた。
「課長……社長の下で働いていた頃が懐かしいです」
彼が社長に就任したのは今年一月。
それまでなにも知らずに彼の下で働いていて、実は社長の息子で……なんて発表があったときは驚いたものだ。
正直に言えば、マッチングアプリに手を出したのも、会社を辞めたのも、彼が結婚し、直属の上司じゃなくなったからというのも少しはある。
夏原課長は私の――憧れでもあったから。
「でもなんで、こんなところに?」
僅かに、彼の首が傾く。
それはそうだろう、こんなところで元部下に会うだなんて思わない。
「御津川社長と結婚したんです。
それで」