偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「終わるまでは食事の支度をしなくていい。
ケータリングで済ませるから」

リビングを出ていこうとしていた私の背に、彼の声が追ってきた。

「わかりました!
助かります!」

噛みつくように言って、私はさっさと自分の部屋に引っ込んだ。

「これ全部、覚えろってね……」

出してみた書類はMITSUGAWAの細かい業務内容から財務関係まである。

「なにがしたいんですかね、あの人は……」

文句を言いながらも、書類を捲っていく。
なんか、こういうのは懐かしい。
FoSで働いていた頃、こういうことはちょいちょいあった。
資料を山積みにされて、三日でこれを読んで有効な営業案レポートを作れ、とか。
あの鬼畜な夏原課長に鍛えられた私を、舐めないでもらいたい。

「やってやろうじゃないの!」

御津川氏の挑戦にやる気になった私は、……純さんのことを忘れていた。
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