偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
笑いながら御津川氏はコーヒーを飲んでいるが、……それ、全部、あなたが原因だと思います。

「え、でもならなんで、株価が下がってるんですか?」

携帯を取りだし、画面を見せる。
会議の前に見たときよりも、さらにガクッ、とそれは下がっていた。

「おー、どんどん下がっていくなー」

愉しそうにしばらく画面を見たあと、彼は携帯を返してくれたが。

「原因もないのにこんなに下がったら、一大事じゃないですか!」

「あるぞ、原因」

興味なさげに彼がコーヒーを飲み干す。

「純が李亜と別れて一緒にフランスに来い、とか言うからさ。
李亜を愛してるからお前と一緒に行ったりするか! って拒否したからだろ」

「え……」

じゃあ、昨晩のあれは、「李亜を愛してる、フランスへは行かない、李亜の代わりなんかいない」ってことだったの?
虫食い文章から自分の欲しい答えを導き出したら、ろくなことにはならない。
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